東日本研究部会開催のお知らせ



会員各位

日本ラテンアメリカ学会東日本研究部会では、以下の要領で、春期の研究会をオンライン開催いたします。今回は研究発表に加え、特別企画としてドキュメンタリー映画の上映会も開催します。こちらもふるってご参加ください。

【開催日時】2021年4月17日(土)13:30-18:40

【参加申込】
参加を希望される会員は、4月12日(月)までに担当理事の以下のメールアドレスにご連絡ください。後日、Zoom招待を送信します。
岸川毅 t-kishik#sophia.ac.jp( #を@に変更する)

【プログラム】
■ 発表1(13:35-14:25)
発表者:Ruben E. Rodriguez Samudio(北海道大学)
発表題目:「パナマにおける新型コロナウイルスの経済的影響」
討論者:久松佳彰(東洋大学)
質疑応答

要旨:2020年3月上旬に初の感染者が確認された後、パナマ政府は防疫措置として外出禁止命令と共に労働契約の停止を命令した。これによって、ラテンアメリカの商業の中心地として知られているパナマにおいてサービス業界を始め経済的な悪影響が拡張している。しかし、危機の中パナマ運河のような記録的に成長した業界もある。本報告では2020年のパナマ経済状況を分析する。

■ 発表2(14:30-15:20)
発表者:西藤憲佑(東京大学大学院)
発表題目:「2000年代ラテンアメリカの左派政権と財政支出政策:コーノ・スール諸国の比較歴史分析」
討論者:山崎圭一(横浜国立大学)
質疑応答

要旨:2000年代以降のラテンアメリカにおける左派政権の財政支出を観察すると、マクロ経済学の一つの議論に基づく、「カウンターシクリカル」と呼ばれる財政支出政策を行う国と、それを行わない国が現れた。その分岐した要因を検証するため、条件的に類似したアルゼンチン、ウルグアイ、チリを対象として、各国の財政支出政策の変容を比較分析した。結果、経済学アイデアが財政支出政策の帰結に影響するメカニズムがあり、そのメカニズムのなかで、「左派政党と経済専門家との依存関係」の違いが財政支出政策の帰結に違いをもたらすと考えられた。

■ ドキュメンタリー映画上映会(15:30-18:40)
解説:細谷広美(成蹊大学)(15:30-15:45)
視聴(当日、参加者にURL・パスワードをお伝えします)(15:45-18:10)
「Te saludan los Cabitos」(Luis Cintura 監督 2015年 65分)
紛争下、多くの人々が行方不明となった軍施設「ロス・カビトス」を扱う。
「Nada queda sino nuestra ternura」(Sebastien Jallade 監督 2017年 69分)
国内避難民となった人々を核に、社会的セクターによっても多様な断片化した記憶を扱う。
質疑応答、ディスカッション(18:10-18:40)

企画の趣旨:ラテンアメリカでは現在各地で政治的暴力を扱った「記憶の博物館」が建設されており、記憶をめぐる議論が活発化している。本企画ではペルーの紛争を扱ったドキュメンタリー映画を2作品上映する。毛沢東系の反政府組織がアンデス山岳部で武装闘争を開始することではじまった紛争では、反政府組織と政府軍による先住民の大規模な虐殺が住民を巻き込むかたちで展開した。ベルリン映画祭で金熊賞を受賞したClaudia Llosa(バルガス=リョサの姪)監督の『悲しみのミルク』は、人類学者Kimberly Theidonの民族誌に着想を得ている。多人種・多民族・多文化の市民社会における暴力の記録、記憶とその継承、及びドキュメンタリー映画という手法について参加者とともに考えたい。

以上

東日本研究部会担当理事
狐崎知己/岸川毅