音楽芸術研究会・公開研究会のお知らせ(8月6日開催)

日本ラテンアメリカ学会会員の皆さま

会員の加藤勲です。

今週水曜日、8月6日の夜に、音楽芸術研究会の公開研究会をハイブリッド形式で開催いたします。

今回は、西洋音楽、琉球・沖縄音楽、ラテンアメリカ音楽に関する、3本の発表を予定しております。
研究会および各発表の詳細は、下記のとおりです。

ご関心をお持ちいただけましたら、ぜひご参加いただけますと幸いです。

研究例会を対面およびオンラインで開催いたします。
開催日: 2025年8月6日(水)
開催時間:18:50 開場(対面・オンライン)
     19:00 例会開始
資料代: 1,000円(対面)
     0円(オンライン)
申し込み:氏名、所属(あれば)、参加方法(対面/オンライン)、メールアドレスを明記し、件名に第三回研究例会参加希望と明記の上、music.and.arts.reserch@gmail.com までご連絡ください。
折り返し、参加のご案内をお知らせいたします。

研究例会タイムスケジュール
 18:50~   オンライン開設
 19:00   研究例会開始
       研究会副会長挨拶: 安元麦
 19:10-19:40 発表者① 伊良波 賢弥
 19:40-20:10 発表者② 安元 麦
 20:10-20:40 発表者③ 加藤 勲
 20:40-20:55 ラウンドテーブル
 20:55    研究会副会長挨拶: 安元麦

司会: 宮本 愛梨(総合研究大学院大学 研究生、関西学院大学 非常勤講師)

発表タイトルと要旨

発表者① 伊良波 賢弥 (非文字資料研究センター研究協力者)

タイトル:
琉球併合後の王府芸能と楽器や道具の保存状況

要旨:
1879年、琉球国は明治政府によって併合され、沖縄県が設置される。琉球併合は、琉球・沖縄の芸能にどのような影響を与えたのか。王府で保管されていた楽器や道具の変遷から、旧王家の尚家やその周辺での音楽の伝承や上演機会について考察する。王府を失った近代の沖縄で、どのような楽器や道具が用いられ、どのような芸能が供されたのかを考える契機としたい。

発表者② 安元 麦 (沖縄県立芸術大学大学院 芸術文化学研究科 後期博士課程)

タイトル:
ジェルジュ・リゲティの旋律 ー"メランコリックなエコー"としてのルーマニア民謡

要旨:
ハンガリー系ユダヤ人作曲家ジェルジュ・リゲティは、自らの悲惨体験を過剰な数の旋律によって作る音の群・音響に抑圧して表現する「ミクロポリフォニー」という作曲技法で60年代の前衛音楽を牽引した。80年代には民俗音楽(他者)の参照を通じて「自己の再構成」としての旋律を復権させるが、当時の批評はそれを退行的と評価した。本発表では彼の創作史を「感情」の観点から捉え直し、彼の創作における旋律の新たな理解を試みる。

発表者③ 加藤 勲 (フェリス女学院大学音楽芸術学科 非常勤講師)

タイトル:
異なる法制度と都市空間が生むサンバの二重性─エスコーラ・ジ・サンバとブロコの比較から

要旨:
本発表は、ブラジルのカーニバル期において演奏される音楽実践を対象に、エスコーラ・ジ・サンバ(Escola de Samba)とストリート・カーニバル(Carnaval de Rua)のブロコ、この両者によるサンバ・エンヘード(Samba-Enredo)の比較分析を通じて、音楽的特徴と制度的背景の関連性を明らかにすることを目的とする。両団体はいずれもサンバ・エンヘードという共通の楽曲形式を用いてパレードを行うが、その演奏の拍節構造には顕著な差異が認められる。参加者の大多数が同じブラジルの市民であるにもかかわらず、音楽的表現に違いが生じる要因を探るため、本研究では両者を規定する制度的枠組みに注目する。
具体的には、エスコーラが都市自治体の「カーニバル法」によって審査・助成・時間帯規制などの制度的枠組みの中で活動しているのに対し、ブロコはより自律的かつ即興的な性格をもち、エスコーラとは別の法制度の元で運用され、制度への依存も大きく異なっている。この制度的差異が、音楽のリズム構造にまで及んでいることを、参与観察と音響分析を通じて明らかにする。
制度は単なる背景ではなく、音楽の要素となるリズム構造に影響する枠組みとして機能している。この関の係性を、参与観察と音響分析を通じて実証的に示すことが本発表の目的である。