西日本部会研究会開催のご案内


以下のように、西日本部会研究会を開催します。皆様のご参加をお待ちしており
ます。

今回の研究会は、同志社大学人文研第14研究会ならびにラテン・アメリカ政経学
会西日本部会との合同企画で開催します。二部構成(並行進行)です。

なお、開催場所が、募集の際の京都大学から同志社大学の烏丸キャンパスに変更
になっていますので、ご注意願います。烏丸キャンパスは、京都御苑に面した今
出川キャンパスとは別の場所にあります(地下鉄烏丸線今出川駅から北へ5分)。
同志社大学のウエブページで場所を確認してください。

○日時:2014年12月19日(土)13:30~16:55
○場所:同志社大学烏丸キャンパス志高館2F SK202、203
〒602-0898 京都市上京区烏丸通上立売上ル相国寺門前町647-20
会場情報: http://www.doshisha.ac.jp/information/campus/imadegawa/karasuma.html

○プログラム:
第一部「低成長期ラテンアメリカの政治経済」(会場:SK202)

13:30~13:35 趣旨説明
 村上勇介(京都大学)

13:35~14:15 発表報告1
「ラテンアメリカ発展停滞のパズル試論」
  浜口伸明(神戸大学)
<報告概要>目まぐるしく変化するラテンアメリカ・カリブ諸国(LACs)の政治
経済変動を理解するための分析枠組として、この地域の固有性が取り入れられた
構造主義的アプローチによる、政治学と経済学の融合的研究が必要とされている。
今回は、(1)新自由主義改革がなぜLACsの繁栄につながらなかったのか、(2)「黄
金の10年」の社会的成果がすでに脆弱さを見せているのはなぜか、(3)これまで
行われた諸改革が持続的な制度構築と高質なガバナンスに反映されたと評価でき
るか、(4)国民の経済的厚生水準の上昇と安定につながらない改革を決定したこ
とで代表制民主主義への信頼が揺らぎ、ともすると汚職や非正規の取引が求めら
れるのはなぜか、等の重層的な問題から成る「LACs発展停滞のパズル」の全体像
を明らかにするための分析枠組み構築に向けた中間段階を報告する。

14:15~14:35 質疑・討論

14:35~14:45 休憩

14:45~15:25 発表報告2
「ラテンアメリカ・日本関係のいま─経済関係の日本モデル─」
  桑山幹夫(ラテンアメリカ協会)
<報告概要> 過去50年の間、日本はラテンアメリカ・カリブ(LAC)地域の主
要な貿易相手国、投資国、融資国、及びODA供与国であった。日本とLACの経済関
係は、中国の優勢によって現在、影が薄いとされているものの、貿易統計が単に
示唆するより遥かに多様化、グローバル化している。日本の対LAC資金の流れは、
堅調に伸びてきている。日本の対LAC直接投資累積額は、中国のそれを上回る。
また、日本国際協力銀行(JBIC)の対LAC地域の事業規模は、主要な多国間開発
機関及び中国政策銀行の融資額に匹敵する。多くの場合、日本の対LAC投資は貿
易を代替するような性格をもっており、最先端の技術、ノウハウ、雇用、外貨収
入等、多くの機会と利点をLAC諸国にもたらしている。これは、中国LAC関係とは
大きく異なる点である。

15:25~15:45 質疑・討論

15:45~15:55  休憩

15:55~16:35発表報告3
「新たな段階の始まり?─ラテンアメリカ政治の現代的位相─」
  村上勇介(京都大学)
<報告要旨>過去30年間、国家社会関係のあり方について模索を続けてきたラテ
ンアメリカは、新たな段階を迎えつつあるかにみえる。1970年代までの約半世紀
は、輸入代替工業化を中心とする国家主導の経済開発に代表される「国家中心モ
デル」が支配的であった。同モデルは1970年代までに破綻し、1980年代からは、
グローバル化の進展を背景にネオリベラリズムへの転換が図られ、国家の役割を
縮小させる「市場中心モデル」が基調となった。だが、格差や貧困などの構造問
題を克服できなかった「市場中心モデル」は1990年代末以降、見直される傾向が
強まり、多くの国で政権を握る「左傾化」現象が観察されてきた。そしてその左
派政権も、今日、実績を問われる段階となっている。以上の展開を振り返りつつ、
ラテンアメリカ政治のいまについて分析を試みる。

16:35~16:55  質疑・討論

第二部「ラテンアメリカにおける国際労働移動」(会場:SK203)

13:30~13:35 趣旨説明
 松久玲子(同志社大学)

13:35~14:15 発表報告1
「家族再統合の過程─モンテレイメトロポリタン地区に居住する中米女性移住者
の経験から─」
  浅倉寛子 (Centro de Investigaciones y Estudios Superiores en
Antropología Social-Unidad Noreste)
<報告概要>メキシコは歴史的にアメリカ合衆国への大量の移民を送り出してき
た。しかし近年では、中米や南米、これらの地域を経由して入国してくる他の地
域からの移民のトランジット、そして、受け入れ国としても注目されてきている。
本報告では、メキシコ北東部に位置する、モンテレイメトロポリタン地区に居住
する中米女性移住者の家族再統合の事例をもとに、アメリカ合衆国へ渡るために
メキシコを通過するものとばかり考えられてきた中米移民に付与される「トラン
ジット」という概念を再考察してみたい。

14:15~14:35 質疑・討論

14:35~14:45 休憩

14:45~15:25 発表報告2
 “In Their Own Words: Female Victims of Human Trafficking in Mexico” / “
Con sus propias palabras: mujeres víctimas de trata en México” (報告:
英語、質疑・討論:英語・西語)
   Marta Torres Falcón (Universidad Autónoma Metropolitana -Unidad
Azcapotzalco)
Summary: Human trafficking has several important phases: recruitment,
transportation, transfer, harbouring or receipt by means of threat or
use of other forms of coerción. Mexico is a place of origin, transit and
destination of international migration. There is also a strong internal
migration. Women are very vulnerable to be recruited for forced
prostitution. This work intends to consider women’s experience through
their own words. Additionally, some policies to prevent the trafficking
and support the victims are proposed.
Resumen: La trata de personas con fines de explotación sexual tiene
varios momentos importantes: captación de las víctimas, traslado (dentro
o fuera del país), recepción y finalmente explotación, mediante
violencia o engaño. México es un país de origen, tránsito y destino de
migración internacional. Además, hay fuertes flujos de migración interna.
 Las mujeres son particularmente vulnerables a caer en redes de trata
con fines de explotación sexual. El trabajo recupera la experiencia de
las mujeres a través de sus propios relatos. Se proponen algunas medidas
para prevenir la trata y brindar atención a las víctimas.

15:25~15:45 質疑・討論