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関 雄二著『アンデスの文化遺産を活かす―考古学者と盗掘者の対話』

臨川書店、2014年3月
http://www.rinsen.com/linkbooks/ISBN978-4-653-04236-5.htm

〈内容紹介〉
古代アンデス文明が栄えた南米ペルーで、日本の調査団が考古学的調査を開始して55年以上経つ。この間、数多くの発見と学術的業績を積み重ねてきた。一方で、その過程において、遺跡の保存をめぐって、国の文化行政と遺跡周辺で暮らす住民の生活の間に起きる対立と葛藤の板挟みとなり、これを乗り越えるためにさまざまな実践にも取り組んできた。著者は、こうした体験に触発され、自らが手がけた遺跡のみならず、広くアンデス地帯に目を向け、人類学的フィールドワークを行うことで、遺跡を破壊する盗掘者や地域住民の論理を明らかにする。最終的に、遺跡など文化遺産の保存と活用には、権威を背景に方針や立案を担ってきた研究者のみならず、関連する複数のステークホルダーが保有する価値観や歴史観を接合していく作業が不可欠と結論づける。

〈目次〉
序 章  フィールドワーク前夜―アンデスの遺跡をめぐるある事件
第1章 遺跡はどうして壊れるのか
第2章 不法占拠と遺跡の破壊
第3章 盗掘者の論理
第4章 ミイラの帰属をめぐる攻防
第5章 インカに虐げられ、インカを愛する人々
第6章 集合的記憶の形成